本吉町在住で教育史を研究している菅原俊彦氏によれば,大島小学校校歌は,県内で7つある明治時代に作られた古い校歌のうち,3番目に古いとのことである。(ちなみに,県内で1番古いのは登米市立佐沼小M29,2番目は東松島市立大曲小M31,3番目は大島小M38。)また,作曲の田村虎藏と作詞の芦田惠之助は,ともに戦前の有名人であり,数ある校歌の中でも由緒あるすばらしい校歌である。

作詞:芦田惠之助(あしだえのすけ)(M6~S26)兵庫県出身。
国語教育・作文教育家。東京高等師範付属小学校訓導となり,綴り方教育を提唱。明治35年,郷里に戻り,兵庫県姫路中学校の助教諭となり,ここで国語教育の実践を展開していく。
日本の植民地支配下の朝鮮・南洋群島で国語教科書を編纂。退職後,地方教壇を行脚。国語教育の権威で,「芦田教式」と呼ばれる学習法を生み出し,明治・大正期の教育に大きな影響力を及ぼした。
また,綴方教育の先駆者でもある。彼が作詞した校歌は,大島小学校校歌と京都の旧惇明小学校校歌の2つのみで,今に歌い継がれているのは,唯一大島小学校校歌だけであるということがわかっている。

作曲:田村虎藏(たむらとらぞう)(M6~S18)鳥取県出身。
東京高等師範学校兼東京音楽学校助教授。『言文一致唱歌』を提唱し,児童の発声法の改善を唱え,鑑賞教育の必要性を調した。七十年前にこれらの改革を提唱し推進した,わが国音楽教育の偉大な先駆者であるだけでなく,今もなお愛唱されている数多くの唱歌の作曲者として著名である。
主要作品
大こくさま きんたろう はなさかじじい うらしまたろう 大江山 したきりすずめ 大寒小寒 うさぎ せみ 一寸法師 虫の楽隊 小さき星 青葉の笛 妙義山 とんぼつり 海辺 おひなさま 菊の花 山陰鉄道唱歌 お月さま 虹 螢うぐいす 日本海海戦
(下線の歌は,芦田惠之助の作詞による)